| 【書 名】 | ダブルブリッド |
| 【ふりがな】 | だぶるぶりっど |
| 【作 者】 | 中村恵理加 |
| 【イラスト】 | 藤倉和音 |
| 【初版発行】 | 2000年2月25日 |
| 【発 行】 | メディアワークス/電撃文庫 |
| 【版 型】 | 文庫/288頁 |
| 【定 価】 | 550円(税別) |
ちょっと恥ずかしい本を読んだ。読むことが恥ずかしいのではなく、読んでいて「うわー、はずい」と思う本である。
「ダブルブリッド」第1巻。
内閣公認特異遺伝因子保持生物・通称怪(あやかし)の少女片倉優樹は、特殊部隊「EAT」の隊員山崎太一朗を彼女の職場警視庁捜査六課にあずかることになる。正義感とEAT隊員としての誇りを強くもつ山崎と人間と接することになれていない優樹はぎこちなく、なにもおこらない日々を過ごすが、徐々にお互いを認めあうにようになる。しかし、そんな平穏な日々は一本の電話で断ち切られた。殺人鬼高橋幸児の捕殺要請。優樹と山崎は3年前に捜査六課が捕らえた怪をおうことになった。
話の内容は鮮血飛び散るなまなましいものなのだが、その本当のテーマがまぎれもなく「人の心の暖かさ」にあり、ぶっちゃけたところ「愛」にある。読んでてはずかしくなるのはそこに原因がある。この物語からそれをとると、「ラグナロク」同様、平井和正の傑作ハードボイルド「ウルフガイ」になるのではないだろうか。
怪である優樹は人間から恐怖と蔑みの目でみられることに慣れすぎて麻痺してしまっている。そして、本当の化け物、人間への恐怖。そんな彼女を自分の正義をつらぬく山崎はいつのまにか尊敬し、ひかれていく。
ああ、もう作者の魂胆みえみえの展開なのだが、巧みな描写で逃げだけない。かくして恥ずかしさを極める最後まで読まされてしまった。
恥ずかしさの極み、とどのつまり、愛だろ愛。
(勝 2001/06)