【書  名】 太陽機関士物語 完全版
【ふりがな】 たいようきかんしものがたり かんぜんばん
【作  者】 祭紀りゅーじ(さいきりゅうじ)
【イラスト】 しろー大野
【初版発行】 2001年08月25日
【発  行】 メディアワークス/電撃文庫
【版  型】 文庫/321頁
【定  価】 590円+税

 舞台はお盆のような卓上世界。そこでは機械仕掛けの太陽が世界を照らしている。機関士を乗せて朝の島を出発した太陽が、夜の島に着いて昼間が終わる、という世界。“公共団体太陽機関社”が運行する滑走型太陽は一二八式。通称いちにっぱ。主人公は機関士のサブロウ。入社4年目、ぐうたらで、遅 刻の常習犯、楽して稼げる仕事に転職したいと考える彼が、上司のダイゴ、整備市のナツ、同僚のランコらと繰り広げる「インダストリーファンタジー」。
 主人公が一見無気力でサボることばかり考えてても、物語の最後では実は・・・というパターンが多いTNで、サブロウは最後までマイペースなのでした。変に期待してしまって、読後、大いに共感しちゃいました。ランコさんが可愛いと感じるのもわかるなあ。機械の太陽を運行する公益団体という設 定もすごく楽しかった。
 機械に対して異常な愛情をそそぐ女の子、とか、登場人物はオーソドックスですが、丁寧に心の動きが書いてあって、安心して読めました。悪い人が「冴えた悪い人」らしかったら、もっと面白かっただろうなあ。さて、わざとカタルシスを「はずして書いた」感じのするこの作品もいいけど、おもいっきりカタルシス〜な作品もいいですよぅ。オススメはローレンス・ブロック『八百万の死にざま』ですね。あ、タッチはこの作品とぜんぜん違うからね。
 
(柳 2001/11)