【書  名】 かめくん
【ふりがな】 カメクン
【作  者】 北野勇作
【イラスト】 前田昌宏
【初版発行】 2001年1月31日
【発  行】 徳間書店/デュアル文庫
【版  型】 文庫変形/300頁
【定  価】 648円(税別)

「かめくん」である。
「亀くん」でも、「カメクン」でもないのである。
 作者の北野勇作は、『昔、火星のあった場所』で、第4回ファンタジーノベル大賞を受賞した経歴を持つのだが、正直、文体に癖があるようで好きになれなかった。
 だが、今回の『かめくん』。このなんとも心地の良い、ぽてぽてとした文体はどうだろう。「亀の姿をしたカメ型戦闘ヒューマノイド」と説明される主人公だが、この文体で描かれると、よき隣人にしか思えない。個々の描写はものすごくリアルなのに、だ。はっきり言って、ティーンズノベルを読み慣れている人には、少々しんどい文章かもしれない。
 でも、今度の休日、なにも予定が入っていないようなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。おそらく、子供の頃、こんな友達がいたら楽しかったろうな、と思えるだろう。自分のいま抱えている悩みが、すこし薄れたように思える人もいるだろう。そんな魅力のある作品、それが『かめくん』だ。
(安 2001/06)